坂本、川上哲治氏以来63年ぶり山形弾!!
「巨人6‐3ヤクルト」(9日、山形)
63年の時を超え、白球は左中間スタンドに消えた。同点の七回。2死二塁。試合を決め、歴史に名を刻む決勝2ラン。巨人・坂本の9号に山形のファンが酔いしれた。
「(菅野)智之の時はいつもエラーしてしまうので、打てないと何を言われるか分からない。かっこいいところと、かっこ悪いところを見せられてよかったです」
お立ち台での自虐ジョークも勝ったからこそだ。伏線は七回表の守備にあった。この時点では1点リード。だが、先頭打者の正面の遊ゴロをトンネルし、盗塁に犠打、犠飛と無安打で同点に追いつかれていた。悔しさをバネに変えた、意地の一発だったわけだ。
山形での巨人戦は59年ぶり。この地での本塁打は50年4月25日の川上哲治氏以来、球団史上2人目だった。「偉大な先輩の次に打てたのは光栄なこと」。初回に中犠飛を打っており、計3打点。打撃の神様をほうふつさせる勝負強さでチームを勝利に導いた。
「ミスしたので取り返したかっただけですよ」。そう振り返る若武者に、試合前、上半身が突っ込まないようステップ幅についてアドバイスしていた原監督も目を細める。「技術というものもプロである以上、大事だけど、また違った何かも重要」。打ったのは低め、見逃せばボール球の直球。追い込まれながらガムシャラに打ち返した。技術プラス無形の精神力。ドラマチックな1勝だった。