マー君、稲尾超え!前人未踏の21連勝
「西武1-3楽天」(16日、西武ド)
楽天の田中将大投手(24)が西武(15)戦で8回1失点の好投で開幕から無傷の17勝目を挙げ、昨年8月26日からの連勝を21に伸ばし、松田(巨人)、稲尾(西鉄)のプロ野球記録を塗り替えた。
チームも60勝一番乗り、最短で18日にも球団史上初のマジックが点灯する。
大偉業よりも、新鮮な光景が目の前にあった。試合後もやまない、地鳴りのような「タ・ナ・カ」コール。「(シーズンの)終盤になってきて、すごくいい緊張感の中で試合ができている。すごく幸せです」と、田中はお立ち台でうなずいた。神の子と呼ばれたマー君が、神様、仏様といわれた稲尾超えも果たした。
どうやったら点を取れるのかという、相手チームの心の叫びが聞こえるようだ。初回無死二、三塁、中軸3人を料理して無失点。ピンチで見せる驚異の投球術は、この日も健在だった。「いつも立ち上がりはランナー出しよる。まあ、抑えると思ったけどね」と星野監督。六回2死二塁から浅村に左前適時打を打たれて失点したが、8回1失点に毎回の10奪三振。当然のように17連勝が、結果として残った。
シーズンをまたいで21連勝。またひとつ、金字塔を打ち立てた。「1番から9番まで本塁打を打てる時代に、これ(21連勝)を築いた。稲尾さんは稲尾さんで、針の穴を通す投球。鉄腕だからな。将大はなんと呼ぼう。プラチナかな」と、闘将もうれしそうだった。
選手は健康面が最優先。現在、チームのケータリングメニューには、必ずグレープフルーツが用意される。「ビタミンと炭水化物の含有量が多く、疲労回復にいい」と、球団関係者。田中の希望も反映されているという。星野監督は「力のある投手は、体が丈夫なら8割は勝てる」と説明する。体調管理のノウハウも、超一流のレベルに達している。
もう、記録は塗り替えまくった。「まだまだ向上するよ。アイツは」と指揮官はさらなる進化を断言。だが当のマー君は、大勢のファンに見守られても「シーズン終わってから、振り返りたいです」と淡々としていた。それ以上に感じたこと。「楽天イーグルスのファンの多さにびっくりしました」。そう言うと、特大の歓声を全身に浴びた。これがトップを走るチーム。驚きと喜びの気持ちを、この日一番の笑顔に込めた。