G内海、8回途中無失点でエースの仕事
「巨人4‐0阪神」(27日、東京ド)
これぞエースの129球だった。阪神戦の今季初登板は7回1/3を6安打無失点の快投。2併殺を奪うなど、巨人・内海が真骨頂の粘りで虎の勢いを止めた。ハーラートップにあと1と迫る11勝目。球宴後は5勝1敗と手がつけられない状態だ。
阪神戦の対戦防御率2・43のキラーは、周到に準備を進めてきた。「1カ月くらい前から、ここで投げると想像して、きょうに合わせて調子を上げてきた。シーズン序盤は迷惑をかけたので恩返しの絶好の機会と思っていた」。キーとなったのが“新球”だ。
WBC期間中に阪神・能見からアドバイスを受けたフォークを多投した。もともと持ち球ではあったが、同じ落ちる系のチェンジアップが代名詞。数試合前から割合を増やし、天王山でしっかりと投げきれるように磨き上げてきた。「阿部さんがチェンジアップよりフォークを多く選択してくれる。サインが来たら、思い切り腕を振ることだけ考えている」。内角への直球もさえ、好調の猛虎打線を手玉にとった。
「不器用なので」。高倉健のように自分を評する。プロ1年目は、変化球がカーブだけ。「ほしいときに内野ゴロが取れるように」とチェンジアップを習得した。盗塁されまくった入団直後には「捕手に迷惑がかかる。阻止率があるから。極めてやろうと思った」とクイック投法を猛練習。決して天才型ではないが、地道な努力とチーム随一の練習量で日本を代表する左腕に成長した。そして今、フォークによって、新たな内海像をつくり上げようとしている。
「先勝できたのは非常に大きい」と原監督。連勝して、再びマジック「24」を点灯させる。