「ヤクルト１‐２ＤｅＮＡ」（１日、神宮）

　執念が結実した。九回にスクイズで決勝点をもぎ取り、１点差の辛勝。ＤｅＮＡが４年ぶりの５０勝に到達した。中畑監督は「しびれた。みんなの気持ちがつながっていることが実感できるゲームだった」。大歓声の左翼席へ、ガッツポーズを繰り返した。

　覚悟を決めた。同点の九回、１死満塁。打席には鶴岡。送ったサインは初球スクイズだった。「初球で決まらなければ終わりだと思った」。祈るように見つめた指揮官。その思いに応えるように鶴岡が外角球に食らいつき、白球を投前に転がした。

　なりふり構わず、タクトを振るった。先発の小林寛から６投手の継投。１２球団最弱の投手陣が必死にタスキをつなぎ、最少失点でしのいだ。攻撃では代打を次々と送り込み「九回で終わらせるつもりだった」と指揮官。ベンチに残っていた野手は控え捕手の西森だけ。全てを出し尽くした。

　勝利に徹した。八回、２死無走者の場面ではバレンティンに敬遠策を指示。大ブーイングが巻き起こったが、意志は揺らがなかった。「あそこは仕方ない。それ以外の打席は勝負している。あのブーイングは甘んじて受け入れます」。強い口調でファンに訴えた。

　３位の広島まで３・５差。目標のＣＳは、手の届く位置にある。「今日はやっちゃいました！」とおどけながら会見を締めくくったが、沸き立つ闘志は誰にも負けない。勝負の９月。最後の最後まで食らいつく。