マー君、鉄腕・稲尾に並んだ20連勝!
「楽天3‐2日本ハム」(6日、K宮城)
楽天の田中将大投手(25)が2失点完投勝利で開幕20連勝を飾り、1957年の西鉄(現西武)の稲尾和久が持つ同一シーズン20連勝のプロ野球記録に並んだ。シーズン20勝は岩隈久志(現マリナーズ)が2008年に楽天で21勝(4敗)を挙げて以来で、無敗での到達は初めて。昨季からは24連勝となった。田中と投げ合った日本ハム・大谷翔平投手(19)は、5回2失点で勝敗は付かなかった。
本当に一打同点の場面なのかと思うくらい、スタジアムは勝利のムードが充満していた。九回2死三塁。2失点目の適時打を打たれている佐藤にこん身のスプリットを投げ込んだ。「腕を振った」。見逃しの三振で田中が思いきり拳を振り下ろした。ゲームセット。2失点完投。開幕20連勝。岩隈以来、球団史上2人目となる大台到達を果たした。
今度ばかりは危ないかも。そう思った人もいたかもしれない。二回にアブレイユのソロ。四回にはらしくない3連打を浴びて2失点目を喫した。
だがナインの気迫が試合をひっくり返した。五回に藤田の同点打。六回に松井の勝ち越しソロ本塁打。その後は当然のゼロ行進だ。ヒーローインタビューでは「僕が足を引っ張ってしまったので、また次、しっかり投げます」と反省の弁から入った。
毎回のように樹立される記録。20勝無敗という数字について聞かれたエースは「今はいいんじゃないですか」と多くを語らなかった。鉄腕と言われた伝説の大投手、稲尾和久(西鉄)に並んだ。1912年の、開幕から19連勝というメジャー記録の数字さえも超えた。「ピンとこない」という本人に代わって大絶賛なのが星野監督。「こんな投手見たことない。想像を絶するよ。100年たってももう破られないでしょ」と語った。
この日は今季10度目の満員御礼。3日から使用開始となった、三塁側の新設スタンド席にもファンが埋まり、球団史上最多の2万2316人が詰めかけた。「新しい席も増えて、たくさん集まっていただいた。(声援は)投げていて感じました」。九回に田中がマウンドへ向かう際、その大歓声に捕手の嶋は「鳥肌が立った」という。着実に近づく頂点。そのムードができあがりつつある。
大谷との投げ合いについては「いや別に。何もないです」とそっけない。お立ち台の言葉がすべてだ。「本当に欲しいものは、優勝です。それに向かって頑張っていきます」。マジックは20に減った。大記録より、欲しいものがある。