G村田“負債”帳消しの決勝タイムリー
「セCSファイナルS・第1戦、巨人3‐2広島」(16日、東京ド)
仲間たちが自分のつくった負債を帳消しにしてくれていた。そして、最高の舞台を整えてくれた。同点の七回。2死満塁。巨人・村田は挽回のチャンスに燃えていた。外角低めを右前へ。この日3本目の安打が、初戦を飾る勝ち越し打となった。
ヒーローインタビューで漏らした「帰って眠れない一夜を過ごすところでした」は本音だろう。二回の守備に後悔があった。1死二、三塁で石原の打球が強いゴロとなり、三塁・村田を襲った。
逆シングルで好捕し、三走を刺すために本塁へ送球…したまではよかったのだが、走者の背中に当たって、ボールはバックネット方向へ転々。2者の生還を許す適時失策になっていた。
「投げるにも投げる場所(コース)がなかった。(走者が)ライン上を走っていたので、どっちかにそれてくれと思って投げたんですけど、真っすぐいってしまった」
2点の先制を許し、責任を負った。ロペスの犠飛で1点を返し、坂本のソロで追いつく熱戦。「情けない守備で先制点をあげてしまった。(坂本)勇人のホームランで救われた感じがあった」。あとは借りを返すだけだった。
倍返しの年だ。交流戦中、失策&3球三振で初回に交代させられた試合の後、阿部に食事に誘われたという。
「(懲罰交代は)『みんな監督にやられてることだから』って。たまたま僕がFAで遅く入ってきただけ。打撃もそうだし、情けない守備だった。別の選手がそうなったら自分も奮起すると思う」
悔しさをバネにして、打撃改造に着手。春先の絶不調を夏場に盛り返し、今では4番だ。短期決戦でもミスを取り返し、勢いに乗る広島を止めた。