G菅野のセCS&自身プロ初完封で王手
「セCSファイナルS・第2戦、巨人3‐0広島」(17日、東京ド)
鯉打線は、見たことのない巨人・菅野に戸惑っていた。「自分はスライダーピッチャー」と公言してきた右腕のフォークが、面白いように決まる。六回1死まで無安打投球。11奪三振は、セCSでは最多タイ記録だ。
九回に1死満塁のピンチを招いたが、危なげなく後続を断った。セ・リーグCS史上初の完投、完封。レギュラーシーズンで完封のなかった菅野にとって“プロ初完封勝利”だ。
「ここまで(フォークが)効くとは思ってなかったです」
春季キャンプ中には「フォークのことは聞かないでください」と冗談めかすほど優先順位の低い球種だった。高い制球力でスライダーとワンシームを内外角に投げ分け、カーブで緩急をつけるのが、これまでの投球パターン。だが1年間戦う中で、自分のデータは敵軍も収集している。
「(相手は)対策を練ってくると思う。自分も対策を練る。フォークって僕のデータにないと思うんです」
優勝決定後、CSの秘密兵器としてフォークを磨いた。精度を上げ、大舞台ではまった。三振の山を築く姿は、背番号19の先輩を思わせた。メジャーのポストシーズンで躍動するレッドソックスの上原だ。
菅野には、忘れられない記憶がある。
「上原さんの新人時代に野球中継を見ていて、ストライクとボールの割合がデータで出たんです。ストライクが80%くらいで、やっぱりストライクで勝負できるピッチャーはすごいんだな、と」
フォークに目を奪われがちだが、高い制球力を持ち、ストライクゾーンで勝負ができるからこそボール球が効く。かつてのエースが乗り移ったかのような投球を披露した。
前田健との投げ合いを制して、CS制覇に王手。最高の投球で広島を黙らせた。