G寺内ビックリV弾「一番うれしい」

 「セCSファイナルS・第2戦、巨人3‐0広島」(17日、東京ド)

 打った本人も驚く、まさかの一撃だった。三回、巨人・寺内が値千金の決勝3ラン。伏兵のひと振りで、前田健を沈めた。「まさかホームランとは思わなかった。今まで打った中で、一番うれしい」。二塁ベースを回り、右拳を振り上げた。

 狙いを決め球のスライダーに絞っていた。しかも高め限定。3球目の直球には見向きもせず、カウント1ボール2ストライク。追い込まれたが、三振覚悟でスライダーにヤマを張り続けた。4球目。2球目にファウルした軌道と同じスライダーが、高めへ入ってきた。通算4本塁打の男が見せたこん身のフルスイング。打球は大歓声に後押しされ、左翼席の最前列に吸い込まれた。

 守備の職人は毎日のように特打に励み、試合後も疲れた体にムチを打ち、バットを振り込んできた。その姿を見てきた原監督は「練習量はチームで1、2を争う。自分のことのように喜んだホームラン」と目尻を下げた。

 前田健は今季、巨人に対し3勝0敗、防御率0・96だった。難攻不落の相手から、会心の一発。「野球を語れるような選手じゃないですけど…。技術で劣っていても打てるのが野球なんで」と胸を張った。日本シリーズ進出に王手。第3戦に向けて「相手よりも勝ちたいと強く思って臨みたい」と気を引き締めた。

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