美馬がプロ初完封!楽天初の日本S王手

 「モブキャスト CSファイナルS・第3戦 楽天2‐0ロッテ」(19日、K宮城)

 星野楽天が初の日本シリーズ出場へ王手をかけた。CSファイナルS第3戦に先発した3年目の美馬学投手(27)がロッテ打線を4安打に抑え、プロ初となる完封勝利。楽天はアドバンテージを含めて対戦成績を3勝1敗とし、きょう20日の試合に勝利、もしくは引き分けで、球団創設9年目で初の日本シリーズ進出が決定する。

 勝利を告げる無数の風船が舞う中で、小さな右腕が大きな仕事をやってのけた。先発の美馬が9回無失点でプロ初完封。「完封したことなかったんで、今日できるとは思わなかった」。お立ち台、Kスタ史上最多の2万4396人の前で、驚きと喜びを混ぜたような笑顔を見せた。

 則本の好投もむなしく敗戦した前夜の流れを、完全に断ち切った。右打者へのシュート、左打者へはカーブとスライダー。散発の4安打に抑え、勝利へ導いた。星野監督からは握手された手で懐へ引っ張り込まれ、そのまま左手で手荒くたたかれた。「もみくちゃにされてよく覚えてない」。苦笑いにも、充実感がにじんだ。

 バッテリーの計画も成功した。「(初戦先発の)田中と(2戦目の)則本で、インコースの意識付けができていた。特に井口さん、今江さんにはアウトコース低めで凡打を狙いたいと考えていた」と、捕手の嶋。もっとも警戒すべき2人に仕事をさせなかった。

 さらに女房役は打撃でも援護。二回2死一、三塁から、左翼線へ2点適時二塁打。「ホント僕は何もしてない。美馬が、本当に一生懸命1球1球投げてくれた」。お立ち台では脇役に回ってこのコメント。攻守で、右腕の偉業を演出した。

 身長169センチの美馬。小柄な体格をカバーする、ガッツは人一倍だ。9月中旬に喉の痛みで入院したが、病室から練習に参加。ローテに穴をあけることはなかった。病み上がり登板となった9月19日のソフトバンク戦は、7回1失点の好投。27歳の誕生日だった。

辛島に託した!!

 星野監督は、先発投手陣を見ながら「アイツらがもっと大きかったらな」と語る。アイツらとは、則本であり、美馬であり、そして辛島。皆、ハートの強さで決して大きくはない体格を補い、楽天のローテを守ってきた。「いい流れで来てるので、あした辛島がやってくれると思います!」と美馬はファンへ言った。託したバトン。球団初の日本シリーズが、ついに見えた。

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