巨人がマー君を攻略するための戦法とは

 巨人と楽天との日本シリーズが26日に開幕する。1、2、6、7戦目はKスタ宮城、3~5戦目は東京ドームで行われる。

 楽天の田中は今季負けなしの24連勝。プロ野球史上初となる無敗での最多勝タイトルを獲得した。クライマックスシリーズでも連勝を継続し、日本シリーズはまず2戦目に先発するが、巨人打線をもってしても攻略は不可能と思われる。元巨人バッテリーコーチの西山秀二氏(デイリースポーツ評論家)も、普通に戦えば巨人は田中を攻略できないという。

 「今年の田中はまず打てない。しかも日本シリーズのような短期決戦ではパワーピッチャーが強い。150キロを超える速球は、分かっていても簡単には打ち返せない。短期決戦ではなおさらだ。それだけに楽天の田中、則本は巨人にとって脅威。日本シリーズの7試合中、4試合にこの2人が投げるとなれば、3敗は覚悟しないといけない」

 田中に2敗するとなると、新人ながら今季15勝(8敗)と活躍した則本から1勝できるかどうかが日本一へのカギを握ることになる。しかし、それでは巨人ナインが納得しないと西山氏は言う。

 「巨人の選手、首脳陣は“田中に勝ってこその日本一だ”と思っている。たとえ日本一になっても、マー君に2つ負けてしまえば満足感は得られないし、心から喜ぶこともできない。なんとしてでも田中を攻略しようと策を練っているはず」

 相手は難攻不落の大エース。打ち崩すことはできない、と考えるのが普通だ。西山氏も簡単に打ち崩せるとは思っていない。しかし、もし巨人が勝てるとしたら2つのパターンがあるという。

 「一つはラッキーパンチのようなホームランで奪った得点を守り抜くこと。東京ドームなら逆方向へ飛んだ打球がたまたま柵越えすることはある。田中は2試合ともKスタで投げる可能性が高いが、Kスタなら風がどれぐらい吹くかも関係してくる。打ち上げた打球が風に乗ってホームランになるかもしれない。外国人選手など、一発のある打者を優先してスタメン起用する手もありだろう」

 もし台風の影響でもあれば、試合は開催されても強めの風が吹く可能性はある。そうなるとラッキーパンチが飛び出す可能性は高まる。

 二つ目の攻略法は、強引な仕掛けだ。

 「セオリー通りに戦っていたら打てない。ときには強引な作戦もあっていい。一塁へ走者が出たら、どんどんヒットエンドランなど積極的に攻めて、たまたま外野を抜くようなヒットが出て1点を奪えるというような形にもっていきたい」

 先制点を奪えれば、巨人には逃げ切れるだけの投手力はある。杉内も内海もパワーピッチャーではないが、しっかりとゲームを作ることができる。楽天にとって、決して攻略が簡単な投手ではない。それだけに、巨人は何が何でも先制点を奪いたいところだ。

 「巨人と楽天のチーム力は五分。どちらが日本一になってもおかしくはない」

 勝負の行方を知っているのは、もしかすると「仙台の風」なのかもしれない。

(デイリースポーツ・岩田卓士)

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