マー君日本S初勝利!魂の完投楽天タイ
「日本シリーズ・第2戦、楽天2-1巨人」(27日、K宮城)
第2戦が行われ、楽天は田中将大投手(24)が3安打1失点、毎回の12奪三振。日本シリーズ初登板勝利を完投で飾った。チームは創設9年目で日本シリーズ初勝利を挙げ、対戦成績を1勝1敗とした。六回には銀次内野手(25)が中前適時打でシリーズ初得点を挙げた。初戦を制した巨人はルーキーの菅野智之投手(24)が5回1/3、1失点の力投も報われず。29日の第3戦から、決戦の舞台は東京ドームに移る。
誰がどう見ても素晴らしい内容。でも、本人の笑顔は少なめだった。エースの田中が9回1失点で完投勝利。お立ち台では「完封したかったです」と、八回に寺内に打たれたソロ本塁打を悔しがった。だが結果は勝利。マー君だからこそできた、楽天の日本シリーズ初白星だ。
六回2死満塁。152キロ内角高めの直球でロペスを空振り三振に切った。腹の底から絶叫した。直後に待望の先制点。「田中に尽きますけどね」。星野監督は大エースに感謝した。終わってみれば日本シリーズ史上18人目の2桁奪三振となる、毎回の12奪三振で巨人打線に立ちふさがった。
八回1死、寺内にスライダーを左翼へ運ばれてから表情は変わった。「気を抜いて投げていたわけじゃないし、ただ単に失投。それを確実に本塁打にされた」。マウンド上でも、不快感をあらわにする。それだけ、取られた1点が悔しかった。
CSを突破した21日のロッテ戦、抑えとして1回無失点。そこから中4日で日本シリーズの初戦に回るのではなく、2戦目を務めた。疲労を考慮してのものという見方が強いが「目に見える疲労は、周りから見ててそんなに感じなかった」と同僚の小山伸が語る。
実は「戦略的な意味合いもある」と球団関係者は明かす。初戦に先発した場合、中4日で31日の第5戦に回る。球場は東京ドームで、展開によっては田中に代打を送らないといけない。2戦目と、中5日あけて6戦目(11月2日、Kスタ宮城)に先発すれば、良い状態で長い回数を投げられるということだ。
本人は不満顔でも、結果がそれを証明している。シーズン24連勝の無敗エースは、CSでも勝利、日本シリーズでも勝った。前日樹立した記録を塗り替える、Kスタ史上最多の2万5219人がその証人だ。ファンに向かって「東京ドームに行ってきます」と誓った。1勝1敗のタイに戻した。責任を果たしたマー君は、羽を休めることなく準備をしていく。