星野楽天、日本一王手!マー君で決める
「日本シリーズ・第5戦、巨人2‐4楽天」(31日、東京ド)
第5戦は楽天が延長10回の激闘を制して対戦成績を3勝2敗とし、球団創設9年目で初の日本一に王手をかけた。星野仙一監督(66)は「東北、仙台の皆さんの前で宙に舞いたい」と絶叫。指揮官としても過去3度果たせなかった悲願の日本一に挑む。第6戦は2日にKスタ宮城で行われる。
阪神でも、中日でも届かなかった日本一をはっきりと視界に捉えた。「東北の皆さんと仙台の皆さんの前で宙に舞いたい!」。お立ち台で張り上げた声を三塁側席、左翼席の大歓声が包み込んだ。星野監督が、自身初の日本一に王手をかけた。
試合中に初めて見せる姿があった。九回、ベンチで手を合わせて祈った。則本と心中するという覚悟の表れだ。「こんなにしびれたゲームはないね。九回で終わらせたかったんだけど、その分、みんなが楽しんでくれたからいいや」。安堵(あんど)感いっぱいのコメント。今度は温かい笑い声に包まれた。
ジョーンズの3ランから始まった第4戦は中継ぎ陣が打たれ、逆転負け。闘将は言い訳せず「オレのミステーク」と言った。一夜明けのこの朝は、切り替えた表情で報道陣の前に登場。「1試合くらい、疲れないゲームをやってほしいなあ」と苦笑いしつつ「腹も立つけど、楽しいよ」。日本シリーズの指揮を執っている現状に充実感もにじませていた。
選手の親分格、小山伸は今季の強さについて、以前こう語った。「いい意味でバカになれるやつらが多い。いつまでも引きずらない」。敗戦の悔しさは、勝って晴らす。星野チルドレンと呼ばれる岡島、藤田、銀次。一発はなくても小刻みにつなぎ、走り回って点を取っていった。このスタイルで西武、ソフトバンクの優勝候補を倒し、CSでもロッテを下した。3人の活躍に“大親分”の闘将は「涙が出ちゃう」とお立ち台で目を潤ませた。
悲願の日本一をつかむための一戦。まだ発表にはなってはいないが、もちろん第6戦の先発は大エース、田中だ。指揮官は隠さずに言った。「いいんじゃない。ここまでの舞台を、みんなが作ってくれたんだから。大いに力を発揮して欲しい」
日本シリーズ初出場チーム同士を除いて、初出場チームが先に王手をかけたのは過去2度あり、2度とも日本一。今季24勝無敗の男が、楽天イーグルスの全てを背負って、頂点をつかむ。