マー君が負けた…日本球界では見納めか
「日本シリーズ・第6戦、楽天2-4巨人」(2日、K宮城)
『神の子』にまさかの2013年初黒星が付いた。チーム初の日本一に王手をかけて迎えた第6戦は楽天・田中将大投手(25)が先発し、9回4失点完投負けを喫した。今年の公式戦からの連勝は26でストップ。この日が日本球界での見納めになる可能性もあり、仙台のファンは160球の熱投を目に焼き付けた。
田中が負けた。今季24勝0敗、ポストシーズンもここまで2勝。WBCでも、オープン戦でも、黒星は1試合もなかった。9回4失点。プロ入り後、最多の160球を投げたエースは「力がなかった。ここ一番の。まだまだ僕は、下手くそだったなと思いました」と唇をかみしめた。
2‐0の五回1死二塁、ロペスに左越え同点2ランを浴びた。141キロのスプリットが甘く入った。さらに2死一、三塁から高橋由にカウント0‐2から3球勝負にいった149キロ直球を中前打され、勝ち越しを許した。「投げミスが多かった。それを確実に打たれてしまった。こういう大事なところで出てしまった」。試合後、田中はしっかりと取材に応じ、敗戦を振り返った。
七回を終えて球数は126球。「代えられる雰囲気もないし、僕も行くつもりだった」と話したが、星野監督からは「代われ」と言われていた。それでも最後までマウンドに向かった。九回2死、160球目、衰えぬ152キロの速球で、高橋由を空振り三振。「球場がどうやったら盛り上がるかを考えて、三振が取れたことは良かった」。腕を振り抜いたその姿に、Kスタ宮城史上最多の2万5271人が絶叫した。
王手をかけて臨んだ試合を、エースで落とした。重くなりそうな雰囲気を指揮官はかき消した。「これだけ投げてくれて、最後に黒星がついたけど、感謝してる」。第7戦。田中のブルペン待機の可能性について星野監督は「ファンの前で投げるのは今日が最後だろう」と否定した。
ポスティングシステムを使用してのメジャー移籍の可能性がある田中。この日が、日本での最後の試合かもしれない。「あした、どうなるかわかりませんが、自分にできることをやりたいなと思います」と第7戦へ向けて語った。観客席には「マー君、感動をありがとう」というプラカードを掲げるファンも。結果は負け。それでも魂を込めて投げ抜いた160球とその姿は、いつまでも深くファンの記憶に残る。