今治西、雪辱の春へパワーアップ
今治西(愛媛)が昨秋の四国大会を制し、「第86回選抜高校野球大会」(3月21日開幕・甲子園)出場を確実にしている。四国代表として出場した昨年11月の明治神宮大会では1勝を挙げたものの、準決勝で日本文理(北信越・新潟)にコールド負けを喫した。その悔しさを、4年ぶりとなる春の甲子園で晴らすべく、ナインは冬の厳しいトレーニングに取り組んでいる。
冷え込むグラウンドに、気迫のこもった声が響く。白い息を吐きながら、厳しいトレーニングに励む今治西ナイン。「神宮大会で体の強さの違いを痛感しました。今はパワーアップが一番です」。選手たちの動きに目を光らせながら、大野康哉監督(42)がこの冬のテーマを説明した。
収穫と悔しさ、その両方を味わった昨秋の戦いだった。
愛媛2位で臨んだ10月の四国大会。準決勝で明徳義塾の右腕・岸を攻略し、決勝は10‐0で池田に大勝。前チームから8人が残る経験豊富なチームは、巧みな試合運びで4年ぶりに頂点に立った。
ただ、四国代表として出場した明治神宮大会では、力不足を痛感した。
初戦は5‐1で八戸学院光星を下したが、準決勝でエース・神野靖大投手(2年)が打ち込まれ、日本文理に3‐10のコールド負け。「スイングの速さ、打球の飛び方、肩の強さ…。大きな差を感じた」と主将の田頭寛至内野手(2年)は振り返る。
大会後、大野監督は課題克服に着手した。陸上やり投げで09年世界選手権銅メダルの村上幸史を育てた、今治明徳陸上部の浜元一馬監督を招へい。昨年末、数回にわたり体幹トレーニングの指導を受けた。
さらに20~30キロの走り込みやダッシュなど、ナインは連日過酷なメニューを消化。徹底的にパワーアップに取り組んでいる。
選抜出場が決まれば、桐光学園・松井裕樹(楽天ドラフト1位)に22三振を喫した、一昨年夏以来の甲子園だ。現チームでただ1人、その試合でベンチ入りしていた越智樹捕手(2年)は「あの悔しさは今も残っている」と、途中出場で三振に終わった打席を思い出しながら雪辱を誓った。
「いいコンディションで臨めれば全国でも戦える。それだけの能力があるチーム」と大野監督は手応えを口にした。神宮で足りなかったパワーを身につけ、今治西ナインは春に備える。