オリックス井川 開幕ローテ入り前進
「オープン戦、ロッテ1‐1オリックス」(14日、QVC)
光が差し込んだ。オリックスの井川が4回3安打1失点の好投で、開幕ローテ入りへ前進。「タイガース時代とは違うけど、それを目指してやろうと思っている。少しでも近づけるようにしたい」。虎の元エースは結果に満足することなく、先を見据えた。
最速は140キロと全盛期には遠く及ばない。だが、腕を振って投げ込む直球には力強さがあった。四回、1死三塁では、落差のあるチェンジアップでハフマンから空振り三振。7日の巨人戦は3回5失点だったが、しっかりと立て直した。
12年10月に左肘遊離軟骨の除去手術。昨季は手探り状態の投球が続いたが、今は不安も消えた。阪神時代の映像は「見ると力んでしまうので」とあえて封印しているが、左腕の軌道や力の入り具合など、体が覚えるかつてのイメージに重なりつつあるという。
先発の駒不足に悩む森脇監督も、34歳の復調気配を喜んだ。「直球に強さが出ている。前回よりステップアップしたのは間違いない」とうなずいた。
日本球界に復帰して3年目。置かれた立場は、誰よりも井川自身が理解している。「ずっと、今シーズンは悔いのないようにと思ってやっている」。淡々とした口調の中に、悲壮な覚悟がにじんだ。