谷繁竜“オレ外し”で念願の初勝利
「中日6‐0広島」(30日、ナゴド)
ベンチ前で出迎えた中日・谷繁兼任監督は、松井雅の差し出すウイニングボールを笑顔で受け取った。「ありがとう」。そう言って頭を下げた。開幕3戦目の初勝利だ。言葉では言い表せない、複雑な感情が込み上げてきた。
「今まで経験したことのない感情というか。何か喜びが爆発するものでもないというか…。何かこうしみじみとした勝利というか…。これはたぶん僕しか分からない」
試合前、3戦目にして初めてベンチスタートの決断。代わりに起用した松井雅が白星をプレゼントした。攻守に大暴れだった。
守っては広島打線を3安打完封負け。打っては1点リードの七回1死一、二塁。バリントンから貴重な追加点となる右中間突破の2点適時二塁打。五回の第2打席でも右中間へ二塁打。
そんな孝行息子に、谷繁兼任監督は目尻を下げる。
「申し分ないんじゃないですか、文句のつけどころがない。ゼロで抑えているし、タイムリー打っているし、盗塁を刺している。こういうのをどう続けて自分のものにしていくかだと思う」
兼任監督と2番手捕手、立場は違えど、これからも扇の要として、新生ドラゴンズをリードしていく。