龍谷大平安が初V“38度目の正直”
「選抜高校野球・決勝、龍谷大平安6‐2履正社」(2日、甲子園)
決勝戦が行われ、龍谷大平安が効果的な得点、堅い守り、大胆な継投策で、ともに初優勝を狙う履正社を6‐2で寄り切り、大会最多38度目のセンバツ出場で初の栄冠を手にした。同校の甲子園大会制覇は1956年夏以来4度目。京都勢の優勝は48年の京都一商以来で66年ぶり、2度目となった。
エース・中田竜次(3年)が、九回2死、好打者・西村にこん身の直球を投げ込む。打球は高々と上がり、“38度目の正直”を約束するウイニングボールはセンター・徳本健太朗外野手(3年)のグラブに収まった。
マウンド付近、もみくちゃで喜びをぶつけ合うナイン。昨年のセンバツでは、早実に初戦敗退、そこから始まった逆襲が、最高の形で結実した。
大会最高のリードオフマンと注目された徳本がまず、強烈なインパクトを履正社に与える。初回、先頭打者として、右翼線を破る一打で『超』のつく快足をとばして楽々三塁を陥れた。
これが次打者・大谷の適時打を呼び、わずか5球で先制。「最高の形でチームに流れをもってこられた!」と声を弾ませた。
準々決勝までは13打数3安打と、足を生かす形をつくれなかった。それでも「去年の悔しさを晴らしたい」という思いと、中口ら1年時からともにレギュラーとして頑張ってきた仲間からの「テークバックの引き方」など、徳本を知り尽くすゆえのアドバイスで準決勝から公式戦初本塁打など、完全復調だ。
最後のヤマ場は2点リードの八回。1死満塁、2ボールで、中田が登板する。試合中、原田監督から「胴上げ投手になりたいか?」と聞かれ、力強くうなずいて上がったマウンドだ。
2回戦で肩の不調を覚えていたが「気持ちが上回った」と、その後3ボールから永谷を三振、辻を投ゴロに仕留めた。
そして九回、「監督を泣かせたい」と必勝を誓った主将の河合泰聖内野手(3年)がこれまた公式戦初本塁打をかっ飛ばし、Vを引き寄せる。「監督には『お前の一発で(感激が)冷めたわ』と言われました」。監督をも巻き込んだ、最高のチームワークで龍谷大平安が、春の甲子園を駆け抜けた。