ミズノ“違反球”謝罪 原因は乾燥ウール
統一球の反発係数が規定の上限値を超えていた問題で、製造メーカーのミズノは15日、都内で会見し、謝罪と原因調査の詳細報告を行った。“違反球”が製造された原因として、材料のウールが乾燥し、強く巻きすぎたことで硬くなったと説明。今後は在庫の統一球の検査をし、早ければ22日にも規定内のボールが納品される可能性も示した。
“違反球”の原因は、ウールだったことがほぼ断定された。ミズノは、ゴム芯を巻くウールの含水率の管理データを公表。それによると昨年12月の数値が、社内品質管理目標(10~12%)を下回る9%前後を計測し、より乾燥していたことが明らかになったという。
乾燥すると重量が軽くなり、使用量が増す。含水率が1%低下すると、その外周と重量に合わせるために約1メートルの量が必要になるという。それによりゴム芯を巻きつける強度が上がり、硬く、反発係数の高いボールの製造につながるという。
通常、ミズノではボールは重量とサイズのデータで管理しているが、今回の問題を受けて材料のデータも詳細に調査した結果、この事実が判明した。会見に出席した水野明人代表取締役社長は「われわれの管理能力が不足していた」と説明した。
では、なぜ乾燥してしまったのか。ウールは中国・上海工場で管理。温度と湿度を一定させた安定室と呼ばれる部屋で、24時間体制で保管されている。ただ、夜は加湿器の水分がなくなり、火災の原因にもなることから停止していたという。加湿器の調整は昨年に限ったことだけではなかったというが、ミズノの担当者は「冬場に、含水率が下がる時が出てきた」と、乾燥の要因に結びつけた。
また、“違反球”を出荷前に発見できなかった理由も説明。3月に自社で検査をした際は、反発係数の数値が規定内の0・418と0・416だったという。これは検査機の設置場所を変更したことで、数値に変化が生じた可能性があり、結果的に“違反球”の発見に至らなかった。
水野社長は「不手際により、各球団や選手の皆様、ファンの皆様に多大なるご迷惑をおかけしたことに関して、おわび申し上げます」と謝罪。否を認め、神妙な面持ちで深々と頭を下げた。