“持ってる男”De嶺井逆転サヨナラ
「交流戦、DeNA8-7西武」(21日、横浜)
どこに打球が飛んだか、分からなかった。懸命に走った。DeNA・嶺井は二塁を回ったところで、サヨナラの走者・金城が生還した姿を確認。プロ2打席目の初安打が、逆転サヨナラ2点三塁打だ。
独特のかすれ声が、ヒーローインタビューでさらに震えた。「後半から試合に出て、失点を重ねてしまった。次につなぐ気持ちで打席に入りました」。捕手としての責任感が口をついた。
直球1本に絞っていた。変化球が2球外れた。ウィリアムスの3球目。狙い球を打ち抜いた。「レフト方向に打ったと思った」という殊勲打は、右翼フェンス直撃。それほど無我夢中だった。
シーソーゲームの劇的な幕切れに、中畑監督は興奮。「(嶺井に)口づけしようと思ったけどやめた。ちょっと汗かいていたからね。熱い抱擁だけ。ほらほーよ(そらそーよ)」と笑わせた。
“持っている男”だ。沖縄尚学でセンバツV。亜大4年時には、決勝打を放って日本一。中畑監督から「ウチにない勝ち運を持っている」と期待された。球団では94年の万永以来の新人サヨナラ打。プロでも“持っている男”を証明した。
八回には多村の犠打から代打梶谷が適時打。サヨナラ劇は途中出場の白崎の二塁打から始まった。「みんながつないでくれた」と指揮官。交流戦勝率5割にリーチをかけた。