ソフト大隣「感謝」422日ぶり復活星
「ソフトバンク3-2オリックス」(27日、ヤフオク)
ここで涙を見せるつもりはなかった。真っ赤に染まったスタンドから送られる拍手。高ぶる感情を抑えながら、ソフトバンク・大隣は笑顔をつくった。「ここまで支えていただいた皆さんに、『感謝』の気持ちを込めて投げた」。422日ぶりの白星。チームにとっても大きな意味を持つ勝ち星で思いを伝えた。
昨年5月31日の広島戦(ヤフオクドーム)以来の先発登板。初回はやや制球を乱し、1死一塁からバトラーに先制の適時二塁打を許したが、直後の1死一、二塁でペーニャを投ゴロ併殺に仕留めると自分を取り戻した。
二回以降は得点圏に走者を置くことなく、最速140キロの直球を走らせ、変化球を操った。「2軍ではなかったくらい、いい具合に力が抜けて投げられた」。
昨年6月に国指定の難病、黄色靱帯(じんたい)骨化症の切除手術を受けた。優子夫人の献身的な支えもあり、長いリハビリに取り組んだ。14日の日本ハム戦(札幌ドーム)では中継ぎで1軍復帰。1回をパーフェクトに抑え、この日のスタートラインに向かった。
マウンドに送り出した秋山監督は「すばらしい投球。積み重ねていたものが出ていてよかった」と称賛。首位攻防戦での3連勝と今季最多の貯金18を呼び込んだ左腕を褒めた。きょう28日に一度出場選手登録から外すが、近いうちに先発機会を与える方針だ。
これで復活と言えるかと問われると「まだ1勝しただけ。この先、先発として一年間仕事ができてから」。涙を流すのはそのときだ。