PL 経験ゼロ“校長監督”胴上げへ
「高校野球・大阪大会準決勝、PL学園7‐3関大北陽」(29日、舞洲)
大阪大会は準決勝が行われ、PL学園が関大北陽に競り勝ち、09年以来の決勝進出を果たした。昨夏の不祥事を受けて、昨秋から暫定的に監督を務める正井一真校長(66)の胴上げに王手をかけた。夏3連覇を狙う大阪桐蔭との決勝は30日午後1時から舞洲で行われる。
野球経験のない正井校長がついに聖地へ王手をかけた。六回、3点差を追い付かれベンチに戻って来たPL学園ナインへ、66歳は声を張り上げた。「まだ終わってない。これからだ!」
このゲキに応えた。3‐3の八回、死球と暴投などで1死満塁。改田晴矢内野手(3年)の犠飛で勝ち越すと、藤原朋輝外野手(3年)の2点三塁打などで一挙4点を奪い、関大北陽に競り勝った。
昨夏の不祥事で昨秋から「国語の先生」正井校長が暫定的に指揮。今夏は控えの宇佐美秀真内野手(3年)がサインを出している。
この日、スクイズを使わない強攻策も、継投も、選手が考え決断した。宇佐美は「まだ決断力が…」と反省するが「決勝につながる勝ちになった」と“采配”に胸を張った。
昨夏の不出場の無念を胸に、優勝した09年以来の決勝進出。ナインは春季大会終了後から夏休み前まで朝に集まって校舎の掃除をしてきた。正井校長は生徒の成長に目を細め「野球ができるんだから、楽しめ」と声をかけ続けてきた。
決勝の相手は春季大会で完敗した大阪桐蔭。主将の中川圭太内野手(3年)は「春の借りを返す。全員が『監督』を胴上げするつもり」ときっぱり。立派な「監督」に一番の恩返しとなる甲子園切符をプレゼントする。