明徳、豪雨高知から“脱出”関西入り
「全国高校野球」(9日開幕、甲子園)
明徳義塾が4日、記録的豪雨に見舞われた地元・高知から1日遅れで決戦の地に入った。川の氾濫などで道路の通行止めが相次ぐ中、ナインは唯一のルートとなった山間の国道を使って“脱出”。午後に兵庫県尼崎市に到着し、同市内のグラウンドで練習を行った。また、この日は15校が参加して甲子園練習2日目が行われたが、前日と同様に室内での練習となった。
バスを降りるやいなや、馬淵史郎監督(58)が腰をさすりながらボヤく。「往生したよ。たまらんわ。あ~疲れた」。豪雨の四国を脱出し、1日遅れの現地入り。百戦錬磨の将もさすがにぐったりの様子だった。
台風12号の影響による記録的な大雨で、地元・高知は陸の孤島と化していた。県内各所で川が氾濫。学校がある須崎市では市内全域に避難勧告が出た。高台にある同校でも膝の高さまで浸水した建物があったという。
交通網も大混乱。高速道路だけではなく一般道でも通行止めが相次いだ。ナインは3日午後1時に学校を出発する予定だったが、県外へ出るためのルートが全滅。出発を断念せざるをえなかった。
1日待っても豪雨はやまない。佐藤洋部長(36)はこの日、午前5時に起床して地図とにらめっこ。本州へたどり着くための道を探した。唯一、通行止めが解除されていたのが国道194号。非常に険しい四国山地の合間を縫うように走る山道だ。
「かなり遠回りですが、ここしかなかったので」と佐藤部長。ナインはバスに乗り込み、午前7時に出発した。唯一の“脱出ルート”を使って愛媛県西条市へ。そこから高松自動車に乗って瀬戸大橋を渡り、ようやく午後1時半に尼崎市内のグラウンドに到着した。
通常は高知道→徳島道→淡路島→兵庫県で約5時間の道のりだが、今回は6時間半かかった。MAX146キロ右腕の岸潤一郎主将(3年)も「バスの中では試合のビデオを見てましたが…。しんどかったです」と苦笑い。前日は寮から一歩も出られなかったナインは、体をほぐすように約2時間グラウンドで練習。午後5時過ぎに宿舎入りした。
出はなをくじかれた格好となったが「人間は自然には勝てんわなあ」と最後はあきらめ顔の馬淵監督。明徳ナインは5日、当初の予定より1日遅れで甲子園練習に臨む。