鹿屋中央劇的サヨナラシーンに珍記録も
「全国高校野球・1回戦、鹿屋中央2-1市和歌山」(13日、甲子園)
1回戦4試合が行われ、鹿屋中央(鹿児島)は延長十二回、市和歌山(和歌山)にサヨナラ勝ちした。
行き詰まる熱戦の結末は残酷であり、記録上も異様な結果となった。
1‐1で迎えた延長十二回裏1死一、三塁。市和歌山が中間守備を敷く中、鹿屋中央・米沢祐弥投手(3年)の打球は二塁手・山根翔希(3年)の正面へ。山根はその球を本塁に投げず、一塁へ送球。その間にサヨナラの走者が生還した。
「自分のミス」と号泣する山根。思わぬ勝利の瞬間に歓喜する鹿屋中央ナイン。悲喜こもごも、異様なゲームセットのシーンには、もう一つ、後世に語り継がれそうな珍記録が残った。
サヨナラの“殊勲打”となった打者走者の米沢は一塁でアウトと判定されたが、試合後の公式記録にアウトはつかず、米沢には打点とともに「内野安打」が記録された。
これが試合途中の1死一、三塁で、打者の内野ゴロで三塁走者が生還し、打者走者がアウトとなった場合は、打点は記録されるが、安打とはならない。
大会本部では、米沢が安打と記録されたことについて、公認野球規則には、今回のような「意味のないアウト」で勝負が決定したようなケースでは、これをアウトとするか安打とするかの明確なルールはないという。また、最後のプレーで打者走者をアウトとする記録上の意味もないことから、同本部が「安打」とすることを判断したという。
ちなみにプロ野球のルールでは、同様のケースで「安打」とする取り決めがあり、実際に2010年3月28日の楽天‐西武戦の延長十回裏1死一、三塁の場面で打者の渡辺が二塁ゴロを放ち、西武の片岡は一塁に送球。その間に三塁走者がホームインし、楽天がサヨナラ勝ちした時も、渡辺には「内野安打」が記録された。当時の楽天は田中将大(現ヤンキース)が延長10回を投げ抜き、シーズンの初勝利を挙げた。
また、この日の鹿屋中央‐市和歌山戦は記録上、延長十二回裏1死で終了。市和歌山の投手・赤尾千尋の投球回は11回2/3ではなく、11回1/3となる。