明徳義塾・岸、4度目聖地で悲願へ一歩
「全国高校野球・1回戦、明徳義塾10‐4智弁学園」(15日、甲子園)
大会屈指の好カード、明徳義塾(高知)の146キロ右腕・岸潤一郎投手(3年)と高校通算73本塁打の智弁学園(奈良)の岡本和真内野手(3年)が1回戦で対決し、岸に軍配が上がった。敬遠策も予想される中、岸は全打席で勝負を挑み、岡本は4打数2安打1打点。試合開始50分前の午前8時40分に満員通知が出た注目の一戦は、明徳義塾が10‐4で快勝した。
明徳義塾・岸の顔に満足感が漂う。4万7000人が見守った73発男・岡本との注目対決。4打数2安打1打点の結果は十分に合格点だ。何より、チームの勝利をつかめた。
「ヒットは打たれたけどホームランじゃなくてありがたかった」。過去の試合映像を分析し「外のボール球を振らせる」作戦を立てた。岡本への全18球のうち直球は5球だけ。「内角を使わなくても打ち取れる」と宝刀・カットボールを外角に集める配球で挑んだ。
1打席目は狙い通り空振り三振。三回の第2打席は甘く入った球を左前適時打された。六回の第3打席は外角低めを拾われ右前打。八回の第4打席もボール気味の球で空振り三振を奪った。細心の注意を払い、致命的な1打は許さなかった。
自身4度目の甲子園。今春センバツは準々決勝で敗退した。何が足りないのか考え、カットボールの精度アップに取り組んだ。投げ込みを重ね「指先の力加減で曲がり具合を調整できる」まで進化。その武器で怪物スラッガーに勝った。
2回戦は大阪桐蔭と3年連続で対戦する。準決勝で藤浪(阪神)に挑んだ2年前は0‐4の完封負け。昨夏は3回戦で5‐1で快勝した。1勝1敗。全国制覇へ避けて通れない宿敵。「チームは勢いづいた。自分もこの流れに乗っていきたい」。エースの表情がキリっと引き締まった。