「ヤクルト４‐６巨人」（１９日、神宮）

　主将がひと振りで激闘にケリをつけた。ベンチからクラブハウスへ向かう帰路。Ｇ党からの「ナイスホームラン！」という祝福の声に右手を挙げて応えた巨人・阿部は「みんなで勝った１勝じゃないか」と頬を紅潮させた。

　４‐４の延長十一回２死二塁。久古の真ん中外寄りの直球を左翼席最前列にたたき込んだ。「入るとは思わなかったが、いい感じで打てた」。ベースを１周する主将の表情に安どの色が浮かんだ。

　ファンの叱咤（しった）に燃えた。五回終了時に花火が上がった際、ベンチの上から「花火なんか見てないで素振りしろ！」という声が飛んだ。実際に花火は見ていなかったというが「オレの心を燃やしてくれた」と笑った。

　原監督は「いいところで出ましたね」と賛辞。九回、あと１人という崖っぷちから同点に追いついた末に勝った。「これからも１戦必勝」と阿部。勢いをつけるにはこれ以上ない勝ち方となった。