亡き父に届け…由伸弔い弾で巨人60勝
「巨人4‐1中日」(23日、東京ド)
亡き父へ捧ぐ一発だ。大歓声の中、ゆっくりとベースを1周した巨人・高橋由は少しだけ顔を上げた。割れんばかりの拍手で迎えられたお立ち台。「いい供養になったかなと思います」と、穏やかな笑みをたたえた。
全盛期を思わせる弾道だった。3‐1の六回、先頭で打席に立ち、カウント3‐1から外角低めの直球を鋭く振り抜いた。「手応えは良かった」。打球はグングン伸び、中堅右へ飛び込んだ。
18日に父・重衛(じゅうえい)さんが死去。前日22日は告別式を終え、試合開始後に球場入り。延長十回に代打で二塁打を放ち、この日はスタメンで結果を残した。「切り替えられたというのはウソになる。ただ、ある程度いつも通りやっているつもり」。感情を抑え、仕事に徹した。
打撃の礎を築いてくれたのは父だった。「基本、基礎はそこなので」。身長より長い竹竿でのスイングを繰り返した。プロのキャリアを重ねても、父の教えは忘れない。「教えてもらったバッティングができたんじゃないかと思いますね」。しみじみと話した。
原監督は「あれくらいの集中力を持つといいですね」とたたえた。チームは60勝一番乗りで阪神とのゲーム差を2・5に広げた。チーム最年長の一撃が、勢いを加速させた。