中京‐崇徳45回9時間18分も0‐0
「全国高校軟式野球・準決勝、中京0‐0崇徳」(30日、明石トーカロ)
中京(東海・岐阜)と崇徳(西中国・広島)の準決勝が、延長三十一回から再開され、四十五回まで計9時間18分戦っても0‐0で決着がつかなかった。3日連続のサスペンデッドゲーム(一時停止試合)となり、4日目の31日9時に四十六回から再開されることになった。中京の松井大河投手、崇徳の石岡樹輝弥投手(ともに3年)が互いに譲らず、3日間でともに45回を投げ抜いた。31日の勝者は同日、三浦学苑(南関東・神奈川)と決勝で対戦する。
勝てなかった悔しさと、負けなかった安堵(あんど)感。3日間でともに45回を投げ抜いた2人は試合後の整列が解けると、互いに歩み寄った。崇徳・石岡が「またじゃけど、よろしくな」と声を掛けると、中京の松井は「こちらもよろしく」と笑顔で健闘をたたえ合った。
28日に延長十五回、29日も三十回まで戦って決着がつかず。2日連続のサスペンデッドゲームで3日目に突入した試合はまたも緊迫した投手戦、再三の好守が飛び出すしのぎ合いの展開となった。
「無我夢中。楽しかった」と振り返った崇徳の背番号「6」・石岡は、伸びのある直球に変化球を交えて、再三のピンチをしのいだ。中河和也監督(29)からは試合前に3連投回避を打診されたが、志願登板。試合中も背番号1で二枚看板の重松への交代を断り、最後まで投げ切った。
前夜は宿舎近くの銭湯につかり、大会前に左肩を痛めた2年生投手に肩、肘のマッサージを受けた。後輩の思いを背負ったマウンドでもあった。先日、広島市内を襲った土砂災害で被害が大きかった安佐南区に練習グラウンドがあり、「自分たちが勝つことで、被災者の方々を勇気づけられたら」と大きな使命感も背負い、計617球を投げ切った。
中京の松井は「絶対に負けたくなかった」と気迫を前面に押し出し、力のある直球で連打を許さなかった。最大のピンチは三十四回。先頭打者の左越え三塁打で無死三塁と攻め込まれたが、1死後、投球動作に入った際に「周りから(三塁走者が)『逃げた』という声が聞こえた」。とっさの判断でスクイズを外し、後続も切った。
前夜はストレッチと電気治療で疲れを取った。肩、肘の状態は問題なかったが、腰に痛みを覚えていた。それでも「先に降りたくなかった」と意地で計635球を投げ抜いた。
両校とも四十六回から再開される4日目の先発は未定。崇徳・中河監督は「できれば投げさせたくない」と言い、中京・平中亮太監督(33)も「指導者としてマウンドに上げてもいいのか」と2人の登板への苦悩を明かした。大会規定により31日の準決勝は最長でも五十四回まで。球史に残る激戦に、どんな結末が待っているのか。