マサに鉄人!山本昌が49歳最年長星
「中日6‐0阪神」(5日、ナゴド)
熱いものが込み上げてきた。五回を抑えてベンチに戻ると、谷繁兼任監督、森ヘッドコーチが握手を求めてくる。49歳と25日。中日・山本昌の今季初登板は5回5安打無失点。最速135キロの直球と最遅102キロのカーブで虎打線を翻弄(ほんろう)した。先発としての責任を果たした安堵(あんど)感と達成感。流れ落ちそうになる涙を必死にこらえていた。
「みなさんに感謝します。苦労しましたけど、こういう場に立てて、幸せな野球人生です。ありがとうございます」
プロ野球史に次々と名を刻んでいった。浜崎真二(阪急)の持つ48歳10カ月を更新する史上最年長出場。一回2死一塁ではゴメスを3球三振に斬り、最年長奪三振となった。そして「おじさんの星」がついに史上最年長勝利を挙げた。64年ぶりに塗り替えた。
31年目のシーズンは苦難の連続だった。1軍昇格のテストにことごとく失敗。5月には2軍のローテを外れ、2カ月間の「1人ミニキャンプ」。それでも結果は出ない。「8月中に結果を出せなかったら、辞めなきゃ」。暑くなったころ、自ら期限を設定し、妻の美智子さん(33)にそうつぶやいた。8月26日の2軍・オリックス戦(ナゴヤドーム)。最後の最後で1軍切符をつかんだ。
「チャンスは今日の1回しかないと思っていた。壊れてもいいくらい、捨て身の気持ち。もう勝てないと思っていたから、うれしいよね」。耐えて苦しんでつかんだ通算219勝目。野球の神様は最高のご褒美を用意していた。