「阪神０‐１ＤｅＮＡ」（３０日、甲子園）

　ストッパー時代とは、別人だった。力感のないフォームから、直球は１５０キロに満たない代わりに抜群のキレを見せた。カーブ、フォークも絶妙に決めた。ＤｅＮＡ・山口が９月３度目の完投を、２度目の完封で飾った。

　「力を入れず、手元で伸びる球を投げられればと思った」。７月に先発に転向。力で押さえ込む投球から、試行錯誤の末にたどり着いた脱力投法。川村投手コーチは「思ったより球がピュッときて、フライになることが多かった」と分析した。

　仲間のためにも大きな１勝だった。前夜は久保が９回０封しながら援護を得られなかった。この日は久保が１勝差で最多勝を争うメッセンジャーに、山口が土をつけた。中畑監督も「チームメートにチャンスを与えたよ」と評価した。

　これで今季６５勝目。中畑政権最多の勝ち星に、「チームの成長、選手の成長の表れ」と指揮官は言う。その代表的存在が８勝目を挙げた山口。「１‐０で完封。思い通りに抑えられたことは自信になる」と手応えを口にした。