SB松田が感涙劇打!7月骨折乗り越え
「ソフトバンク2‐1オリックス」(2日、ヤフオク)
ヒーローになったソフトバンク・松田は、すぐにファンの視界から消えた。一、二塁間でナインにもみくちゃにされ、解放されると目を真っ赤に腫らしていた。「自然と(涙が)出て…」。シーズン最終戦で優勝を決めるサヨナラ打。同じく涙していた内川と熱く抱擁。チームメートの手で4度宙に舞った。
延長十回、1死満塁のチャンスに打席が回ってきた。「つないでくれた前のバッターの気持ちを忘れず、とにかく食らいついた。今年最後の打席だと思った」。比嘉の外角低めスライダーに食らいつくと、打球は左中間を抜けていった。
7月2日のロッテ戦(ヤフオク)前に右手人さし指を骨折。3年連続でファン投票選出された7月の球宴に出られず、柳田がMVPに選ばれた第2戦は自宅のテレビで観戦した。「あんな目立てる場面でおとなしいコメントしやがって…。うらやましくなった」。早く復帰してど派手なヒーローになる。その願いを最後の最後にかなえた。
優勝マジック点灯に王手をかけてから1勝9敗。「プロに入って一番暗い苦しい9月だった」。支えになったのは、同期で8月頭に左手薬指を骨折した本多の存在だ。西戸崎練習場でリハビリしている本多とメールなどで連絡。「お互い長い生え抜き。(チームを)よろしくお願いします」という本多の思いを受け取っていた。逆に連敗中は「なるようになる」と励まされた。
本多から選手会長を次いで1年目。日本一という大きな目標はまだだが、一つ大きな願いをかなえた。9月20日に第2子の長女が誕生。第1子の長男が生まれた2010年もリーグ優勝していた。「力になりました」。そう語った一瞬だけ、チームリーダーからパパの顔になっていた。