中村、人生初サヨナラ弾でソフト王手!
「日本シリーズ・第4戦、ソフトバンク5-2阪神」(29日、ヤフオク)
真っ赤に染まったスタンドが歓喜に揺れた。ワンプレーに一喜一憂しない男が、打った瞬間に両手を突き上げた。延長十回、2死一、二塁。ソフトバンク・中村が右翼席へ劇的なサヨナラ3ラン。日本一へ王手をかける一撃に「(サヨナラ弾は)人生でも記憶にない。最高です」と振り返った。
呉昇桓の速球に狙いを定めていた。「球筋は頭にあったし、球種は少ない。とりあえず、真っすぐに合わせようと思った」。1ボールから3球連続ファウルを打ち、徐々にタイミングが重なった。「初球は前に突っ込み過ぎていたが、ちょっとずつ(重心が)後ろに移動するようになり、前に飛んだ」。打席で冷静に対応し、5球目の148キロを仕留めた。
シーズンではリーグ最多の176安打を放ったが、ポストシーズンは苦しんだ。日本ハムと戦ったCSファイナルSは19打数2安打。日本シリーズでも第3戦まで11打数1安打。第3戦の試合前には、控えメンバーと一緒に早出特打。「何とか打ちたい」という思いが、人生初のサヨナラアーチにつながった。
シーズンでは143試合に出場し、打率・308。7年目でレギュラーに定着したが、4本塁打とパワーがあるほうではない。秋山監督は「うまくミートしてくれたら外野の頭を越えるかもとは思ったけど…。まさかホームランとは思わなかった」と驚いた。
チームの危機を救う一発にもなった。主砲の李大浩が右手首を痛め、途中交代。四回以降は主砲不在で苦しい戦いを強いられた。指揮官は「素晴らしかった。大きなひと振りだった」と、孝行息子に感謝した。
今季限りで退任する秋山監督にとって、第5戦は本拠地でのラストゲーム。指揮官は「ヤフオクドーム最後の試合になるので、是非勝ちたい」と誓った。