秋山ソフト有終日本一!博多で決めた
「日本シリーズ・第5戦、ソフトバンク1-0阪神」(30日、ヤフオク)
ソフトバンクが勝って対戦成績を4勝1敗とし、3年ぶり6度目(南海、ダイエー時代を含む)の日本シリーズ優勝を果たした。今季限りでの退任を表明している秋山幸二監督(52)は、監督として3年ぶり2度目の日本シリーズ制覇で有終の美を飾った。MVPは内川聖一外野手(32)が選ばれた。
最高の花道だった。手塩にかけた選手の手による10度の舞い。秋山監督は笑顔だった。「福岡のこの地で3連勝できて、ファンの皆さんの前で日本一になれました。最高です。何も言うことはありません」。背番号81が本拠地ヤフオクドームの熱狂に身を委ねた。
不振だったエース摂津が快投を見せ、選手会長の松田が八回に決勝打。「意外性のあるマッチ(松田)が決めてくれましたが、チーム一丸でつないだ結果。このチームは本当に頼もしい」。2年前に妻の千晶さんが体調を崩したこともあり、今季限りでの辞任を発表したが、教え子たちの成長は指揮官の予想を超えていた。
プロには「演じる」要素が必要と考える。だからこそ、グラウンドでは常にポーカーフェースを貫いてきたが、辞任表明後は監督としての仮面の奥にある、素顔を見せることが増えた。CS第6戦で快投を見せた大隣を、ベンチの端まで歩み寄って肩をたたいていたわった。今シリーズ第4戦でサヨナラアーチを放った中村は熱く抱きしめた。
日本シリーズ開幕の3日前、福岡市内の焼き肉店での決起集会。酒を少し飲んだ秋山監督は、同じ卓を囲んだ主力選手に打ち明けた。「監督として、おまえたちと距離を置く必要があった。それがつらかった」。そして、それぞれの選手にアドバイスした。「一野球界OBとして言うぞ」-。
現役時代は1994年に黄金時代の西武から前身のダイエーに移籍し、弱小チームを常勝軍団に導いた。指導者としても多くの選手たちを育てた。「6年間監督として、自分では目いっぱいやってきた。本当にありがとうございました。ホークスは強いホークスであってほしい」。チームを支え続けた肥後もっこすは、最高の幕切れで後輩に未来を託した。