「日米野球・第１戦、日本２－０ＭＬＢオールスター」（１２日、京セラ）

　日本代表・前田健太投手（２６）＝広島＝がＭＬＢオールスターをなで切りにした。日米野球第１戦を任された日本代表のエースはすべての持ち球を駆使し、メジャー球やメジャー仕様のマウンドに対応。５回を２安打無失点に抑え、勝利投手となった。将来のメジャー挑戦を目指す右腕にとって今回の経験は、大きな糧になったはずだ。

　絶対に抑える。シーズンさながらの真剣な投球。前田が自分のすべてをマウンド上で表現し、メジャーの強打者に挑んだ。結果は５回無失点。「楽しさもあったし、怖さもあった。いい経験をさせてもらった」。第１戦を白星に導く快投を演じた日本のエースは、白い歯をこぼした。

　立ち上がりはいつもと違う球やマウンドに戸惑った。初回、１死後にカノに左前にはじき返され、迎えるのはメジャー屈指の三塁手、ロンゴリア。ここで伝家の宝刀・スライダーを多投したが、思い通りに制球できず、ツーシームも統一球では見られないような軌道で大きく落ちた。制御できない変化球。結局、四球を与えた。

　何とか粘り無失点に抑えたが、一回で２３球を要した。今大会は球数は８０球までと制限されている。苦しい投球が続くかと思われたが、前田の真骨頂はここからだった。二回からは変化球を見事に操り、凡打の山。試合中にきっちり修正し、７１球で５回を投げ終えた。

　圧巻だったのは五回、エスコバルへの投球だ。カウント２－２から１５１キロのツーシームで空振り三振。「日本より球が動くので、日本では投げられない球を投げられた」と目を輝かせた。

　ＭＬＢオールスターも前田を称賛した。ファレル監督は「バラエティーある球種で、タイミングを外しながらストライクを取れる」と印象を語った。無安打に抑えられた１番のゾブリストは「いいアクションだったし、いい球の動きだ。ストライクを早く取れる投手」と実力を認めた。

　将来のメジャー挑戦を目指す前田にとっても、意味がある１日だった。「結果が出たし、球にもうまく対応できた。そういう意味ではよかった」。今オフのメジャー移籍は見送られたが、その視界の先には米国で成功する自分の姿があるはずだ。