県岐阜商・高橋11K150キロ衝撃デビュー

 「選抜高校野球・1回戦、県岐阜商4-1松商学園」(24日、甲子園)

 甲子園デビュー戦で大器の片鱗を見せつけた。MAX152キロ右腕の県岐阜商・高橋純平投手(3年)が2安打1失点、11奪三振で完投し、松商学園を4-1で下した。初回にいきなり最速となる150キロを計測して聖地を沸かせると、四回以降は変化球主体で走者を一人も出さない完全投球。底知れぬ力を秘める右腕に、日米15球団超のスカウト陣も高い評価を下した。次戦は28日の第1試合で近江と対戦する。

 格が違った。直球の威力、変化球のキレ、投球術-。高橋は試合後の第一声で「楽しかったです」と爽やかな笑みを浮かべた。

 「初回だけは力を入れて三振を奪って三者凡退に抑えようと決めていた」。一回、先頭・百瀬の2球目に150キロをマーク。そして百瀬から三振を奪うと、後続も三ゴロ、三振と3人で仕留めた。

 1点先制した直後の二回には、1死から中前打と味方の失策で一、三塁のピンチを招き、スクイズで1失点。だが高橋は失策した坂下に「大丈夫だから」とほほ笑んだ。

 能力の高さを示したのは勝ち越した四回以降だ。変化球主体に切り替え、「50%くらい」の力で走者を一人も許さない完全投球。圧巻は六回、高野をスライダーで、船崎をカーブで、新倉を直球で三者三振に斬った。

 総合力の高さを見せつけた全国デビュー。「1試合でも多くこのマウンドに立ちたいです」。だが聖地にたどり着くまでの道のりは決して、平たんではなかった。入学直後に145キロを計測し、期待された1年夏、県大会直前に左足甲の疲労骨折が判明。ベンチ入りしても投げられない。チームの力になれないことが右腕の中で苦悩へと変わった。

 そんな高橋に、分岐点となる出来事があった。一昨年の12月、同級生でマネジャーを選出するためのミーティングを行った時のこと。その場で互いが野球観について本音をぶつけ合い、全員が涙を流したという。当時部長の小川信和監督(43)は「いい仲間と巡り会えたことが(立ち直った)要因」と明かす。

 本音を言い合える仲間がいるから今の自分がいる。「声をかけてくれて、まとまりのあるいいチームだと思った」とはにかんだ高橋。支え合って手にした1勝から、“伝説”は始まる。

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