独学で学んだ“マエケンスライダー”
「選抜高校野球・2回戦 静岡4-2木更津総合」(27日、甲子園)
8強入りを託された木更津総合の2年生サウスポー・早川隆久投手(2年)は97球で力尽きた。「自分の投球ができたのに打たれた。実力不足です」。早川はあふれるものを抑えきれなかった。
中学時代は投手をしていたが、左肘を骨折した影響で高校入学直後は外野を守った。しかし投手への未練を捨てきれず、昨夏「投手をやらせてください」と監督に志願。強い決意でかつての居場所に戻ると、必死に投げた。その結果、昨秋は左のエースの座をつかみ、8試合で36回無失点を記録した。
原動力は強い探求心だ。中学時代から野球に関する書籍を購入し、独学を重ねた。大会中も「宿舎近くの書店で田中将大投手(ヤンキース)の本を購入しました」と明かす。
自信を持つ球種は縦と横に曲がる2種類のスライダーだが、投げるきっかけは中学時代、母・優子さん(50)がたまたま買ってきた変化球の本。その中に大ファンだった広島・前田健太投手のスライダーのページがあり、ボロボロになるまで読み込んだ。「アメフットボールを投げるような感覚で投げてみたら、面白いくらいに落ちた」と振り返る。
独学で磨いた得意球を武器に臨んだ甲子園。だが静岡に敗れ、2回戦で去る。「キレを磨いて、夏にもう一度ぶつけたい」。この経験を糧に、夏はもう一回り成長して帰ってくる。