竜止めた!ヤ田中浩が延長サヨナラ打
「ヤクルト2-1中日」(8日、神宮)
気温3度の神宮に熱い男の闘志がほとばしった。終盤に追い付いたヤクルトは、延長十回2死満塁で田中浩。4日に頭部死球を受けて心配されたベテランが、浅尾の速球を踏み込んではじき返した。中日の連勝を7で止める今季チーム初のサヨナラ打。32歳は右人さし指を誇らしげに突き上げた。
「今は試合に出ることが当たり前ではない。毎日が必死」。かつての名二塁手は若手の底上げで激減した出場機会を取り戻すため、今季は新たに外野に取り組む。先発は外国人選手の故障で巡ったチャンスだが、代打で培った勝負強さでその座を手放さずにいる。久々のお立ち台で「また立てるとは。感慨深い」と晴れやかに笑った。
外野挑戦を進言した真中監督は「彼にも意地があったと思う」と目尻を下げた。早大時代にはスカウト評価への影響を指摘する声を押しのけ、骨折しながら出場を続けたことも。「仕事があるということが喜び」と田中浩。ベテランの気迫が若いチームを勢いづけた。