「オリックス４-５楽天」（１２日、京セラ）

　表情ひとつ変えずにピンチを絶った。１点リードの八回２死一塁でマウンドへ。楽天・松井裕はＴ－岡田を宝刀のチェンジアップで三振に斬った。続く九回は２本の安打で２死一、三塁となったが、中島を左飛に打ち取った。８日ぶりの７セーブ目。安どの笑みを浮かべ嶋とハイタッチした。

　今季５度目の、イニングまたぎ登板となったが、崩れることはなかった。頼もしさを増していく左腕に、大久保監督は「ゼロで抑えて帰ってくるところがすごいこと。本当にいいピッチャーじゃなければできない」と最大級の賛辞を贈った。

　どんな場面でも動じることはない。４日の日本ハム戦。２点差の八回２死一、二塁でマウンドへ。打者はハーミッダ。一発が出れば逆転という場面だったが、鼻歌を歌いながらマウンドに上がったという。大久保監督は「後藤が『あいつは宇宙人だ』って言ってたよ。あいつはすごいよ」と目を丸くした。

　負ければ借金が今季最大の「６」になるところを踏ん張り切った。指揮官は「大きい勝利」と言えば、松井裕も「武藤さんの初勝利がかかっていたので、勝てて良かった」と笑顔。今季１３試合に登板し、いまだ無失点。波に乗り切れないチームの中で、１９歳の存在感は、際立っている。