阪神マートンの意外なリフレッシュ方法
阪神のマット・マートン外野手が、優勝争いを繰り広げるチームを打撃でけん引している。
来日1年目の10年に日本記録の214安打を記録し、14年にセ・リーグ首位打者にも輝いた安打製造機。ただ、今季は開幕から調子が上がらず、打率は2割台前半を推移。先発落ちも経験した。
それでも7月に月間打率・301を記録すると、8月は月間打率・358と打ちまくった。8月21日のDeNA戦終了時点では、今季最高の打率・298(開幕カードを除く)まで数字を上げた。
交流戦後、原点に返って、打撃フォームを見直したことも奏功しているが、意外なリフレッシュ方法がメンタル面にも影響している。日本の名所訪問だ。
広島遠征中だった「原爆の日」の8月6日には、広島市内の平和記念公園で開催された平和記念式典を初めて見学。同公園内の広島平和記念資料館にも足を運んだ。
「日本に6年いて、これまでは行く機会がなかったけど、(原爆投下が)起こった日に広島にいるので、一度行くべきだと思った。いろいろなことが頭をよぎった。被害に遭われた方、残された家族の方で今も生きていらっしゃる方もいる。複雑な思いを持って見ていた」。日米の忘れてはいけない歴史をあらためて勉強し、野球ができる喜びを感じ取った。
また、同月末の広島遠征中には、厳島神社にまで足を運んでいる。さらに9月7日は甲子園での練習後に京都へ向かった。伏見稲荷大社、清水寺、錦市場と、時間が許す限り、古都を満喫した。
名所巡りは、気分転換だけではない。「日本を勉強して、理解するためだよ」。日本文化に触れることで、チームメートの考え方などを知るきっかけにもなる。言葉が通じないことで生じる誤解など、余計なストレスが減ることで1打席、1試合に集中する状態を作れている。
外国人選手は家族との時間を大切にすることが多く、マートンも例外ではない。シーズン中、甲子園での試合開催日は、午前中に家族サービスに時間を割き、試合終了後も早めに帰宅する。もちろん家族との時間もリフレッシュとなっているが、名所巡りは日本生活が長い助っ人らしいリフレッシュ方法と言える。
(デイリースポーツ・西岡 誠)