内川主将男泣き「うれしいけど通過点」
「ソフトバンク5-3西武」(17日、ヤフオクドーム)
試合が終わらぬうちに、両目から涙があふれた。4番、主将という重責を1年間、自分なりに全うした証しの涙だ。「我慢しなきゃと思ったけど、シーズン中にいろんなことを感じたし、考えたので」。ソフトバンク・内川は感慨に浸った。
初回、1死一、二塁の好機で打席が回ってきた。「まずは先制点という気持ちで打席に入った」。中前へはじき返し、先制点をたたき出した。
不調を拭いきれずにいた8月の遠征中、工藤監督に食事に誘われた。腹を割って話した。「工藤公康」は、ミスを引きずり、ミスを重ねた若手野手に憤っていた。
後日、ナインを集め、工藤監督の求める姿勢を伝えた。でも、その前に、頭を下げた。これまでの、自身の態度についてだった。
「周りを寄せ付けない雰囲気にしてしまったのは、本当に申し訳なかった」。本来の調子が出ず、苦しかった。それでも主将として、一人の男として、考え抜いた末の行動だった。
「この1年がどんな1年になるのか、全く想像できない。恐らく、これまでのようにはいかない」。開幕前に抱えていた不安は、いまだ拭い去れてない。それでもチームをけん引する立場として前を向く。「きょうの優勝はうれしいけど、通過点。喜べるのはきょうまで」。重みのある、主将の言葉だった。