阪神・福原を支える山本昌の助言とは…

 長年、プロ野球の第一線で活躍できる選手には、それだけの理由が存在するもの。重ねる経験と共に工夫をこらすのはもちろんだが、失う若さと共に訪れる分岐点とも、向き合わなければならない。下降線をたどり続けることなく、現状を打破できるかどうか。ふとしたきっかけが、長寿のポイントになったりする。

 今季、優勝争いを演じた阪神の投手陣を支えていたのが、今年で39歳を迎える福原だった。力強い直球は年齢を感じさせず、一方で、変化球を巧みに交える投球術には、ベテランならではの技も感じさせる。そんな右腕が今も忘れていないものは、今季限りでの現役引退を発表した球界のレジェンド、中日・山本昌からの言葉だ。

 長年活躍できている秘訣は何ですか?。

 例えばこうやって問われると、福原は決まって「山本昌さん」とその名を挙げて、あの日を思い返す。5年前の2010年6月。1軍ではなく2軍。甲子園でもなければ、ナゴヤドームでもない。姫路球場でのウエスタン・阪神‐中日戦の試合前、2軍調整中の山本昌と、野球談義に花を咲かせる時間があった。

 「いろいろなフォームの話をしてもらって、これやなと思えた」

 その当時、福原は進むべき道がはっきりと見えないような状況に陥っていた。08年は、試合中にバントを試みた際に右手の人さし指を骨折し、わずか8試合の登板に。翌09年は3勝10敗という成績に終わっていた。その流れで迎えた10年。山本昌からの、そのフォームに関する「金言」は、投球時の歩幅に関することだった。

 「だんだん(歩幅が)狭くなってしまっていた。股関節が悪い時期もあって開くと痛むのもあって。狭くして角度を出そうとしてたら悪い方向になっていたというか。昌さんから『広くステップして投げてみようと思っている』と聞いて、僕もやってみようかなと」

 具体的には、それまで六歩ほどだった歩幅を半足広げた六歩半に設定。「足を広げたら体を使わないと投げられないし、それで体をしっかり使えだしたのもある」。意識を変え、フォーム修正に徐々に着手。それがハマり、11年には55試合に登板。そこから15年まで、5年連続で50試合以上の登板を記録するなど、チームに欠かせない存在となっている。

 今でも、山本昌のアドバイスは福原の中で息付いている。練習で外野をランニングする時には、意識的に「足を広く。ストライドを広くしようと」と足を大きく開いて走る姿が目立つ。山本昌自身は引退しても、積み重ねてきた経験や理論というものは、球団の垣根を越えて、受け継がれている。

(デイリースポーツ・道辻 歩)

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