【ヤクルト小川 優勝手記】

 ヤクルトが2日、14年ぶりの7度目のリーグ制覇を果たした。延長十一回の末、阪神に劇的なサヨナラ勝ち。大一番に先発した小川泰弘投手(25)は6回2安打無失点の好投で大役を果たした。今季11勝を挙げ、優勝に大きく貢献したエース右腕は、デイリースポーツに独占手記を寄せた。

 ◇   ◇

 最高の気分です!!神宮の最終戦で、優勝が決まる試合のマウンドに立てて、本当に貴重な経験をさせていただきました。今年は2年連続最下位から、真中監督がキャンプから優勝を目標に掲げられて、それが現実となって、初めて優勝することの喜びも味わえて、とてもうれしいです。

 3年目のシーズンは2年連続の開幕投手から始まって3連勝しましたが、5月、6月は勝てない苦しさを味わいました。1年目、2年目にはなかった壁にぶつかって、自分を見つめ直して、もがいたシーズンだったと思います。

 それでも、2桁勝利に乗せることができたので、サポートしてくれた方々、監督、コーチに感謝しています。夏場に入って勝てるようになりましたが内容は良くなく、苦しい時期が続きました。そんなとき、自主トレを一緒にさせていただいている上原浩治さん(米大リーグ・レッドソックス投手)からいただいたメールに助けられました。

 そこには「投げやりになったらアカンぞ。地道にやったら必ず結果は出るから」と書かれていて、そうだな、と。素直に地道にやっていこう、結果は出ていないけどやるしかない、と思って前向きになれました。メールをいただいたのは広島戦(8月12日、マツダ)で完封した前日です。感謝しかありません。

 真中監督からも後半戦が始まる前に「他チームのエースはテンポもいいし、投げる以外のこともしっかりやれている。小川もそういうところもちょっとずつ目指していこう」と声をかけてくれました。その後のDeNA戦(7月21日、横浜)の前にも「どんな偉大な選手でも変化するし、周りの選手も変化していく。変化することが大事」という言葉もいただきました。

 前から言われてはいましたが、結果も出ていない状況でしたし、今までより強く言ってくれることで、取り組むしかないなと思いました。時期的にも変わらないといけなかったと思います。

 自分のボールを投げて打者を抑えるのは基本ですが、調子が悪くてそれができない時期があったりする。そういうときにどうやって勝つか。どういう投手が勝てるのか。やっぱり野球を知っていないといけないし、テンポだったり、打者を観察して投げることだったり、打順の巡りを考えて投げたり、そういうのは必要になってくると考えました。今まで考えてなかったことなので、視野が広がった感じですね。

 それから、今年はキャンプから「使命」との刺しゅうを入れたグラブを使っています。ヤクルトを優勝させる、応援してくださるファンを勇気づけるという使命があると思って入れました。1年間ローテを守ってこられたことに関しては使命を果たせたかなと思いますが、まだまだやれる部分はあったと思うし、今後も継続ですね。

 これからはCS、それを勝ち抜けば日本シリーズもあります。全部初めての経験ですけど、今までやってきたことを信じて、とにかく目の前の勝利にこだわって全力で勝ちに行きたい。支えてくださった方々への感謝の気持ちを持ちながら、1球1球、強気で投げ込んでいきます。厳しい戦いになると思いますが、望むところです。(ヤクルトスワローズ投手)

 ◆小川 泰弘(おがわ・やすひろ)1990年5月16日生まれ、25歳。愛知県出身。171センチ、80キロ。右投げ右打ち。投手。背番号29。今季推定年俸6500万円。愛知・成章から創価大を経て、2012年度ドラフト2位でヤクルト入団。1年目の13年には16勝4敗の好成績を残し、最多勝と新人王を獲得した。

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