ハム逆王手!大谷起用せず矢野が殊勲打
「パCSファーストS第2戦、日本ハム4-2ロッテ」(11日、札幌ドーム)
頼れるベテランの一打で逆王手だ。第1戦を落としていた日本ハムは、八回に矢野謙次外野手(35)の中前2点適時打などで逆転に成功。プロ初のリリーフ登板となった有原航平投手(23)も好投を見せ、対戦成績を1勝1敗とした。12日の第3戦で勝つか引き分けると、ファイナルS進出が決まる。
祈りが通じた。八回、レアードの同点適時二塁打で追いつき、なおも1死二、三塁。矢野は外角カーブに必死に食らいついた。バットの先っぽで捉えた打球はしぶとく中前へ落ちた。「(持ち味は)思い切りのよさ。積極的にいきました」。執念で運んだ勝ち越しの2点適時打。満員のスタンドの大歓声を受けながら、ベンチに向かって両手を突き上げた。
初戦に敗れ、崖っぷちに立たされたチームを攻守で勝利へと導いた。
七回に岡の代打の代打で登場。三ゴロに倒れたが、八回の守備に就き、2死一塁。鈴木の左中間を破りそうな打球に懸命に左腕を伸ばし、グラブに収めた。「最後まで諦めないで追いかけた結果です」。その直後の打席で適時打を放った。「守備で気持ちが乗った」と笑みを浮かべて振り返った。
殊勲者は試合後、お立ち台に上がり、得意の決めぜりふでファンを盛り上げた。「皆さん、用意はいいですか。ファイターズ最高!」と絶叫。そして笑顔で手を振り、逆転勝利の喜びを分かち合った。
6月に巨人からトレード移籍。CSの常連チームで積んできた経験が生きた。巨人時代のCS成績は25打数8安打、打率・320。八回の打席は前日先発した大谷が代打待機していたが、そのまま打席に立った。栗山監督は「あの場面は経験がないと難しい。謙次しかいない。謙次にかけた」とベテランの勝負強さをたたえた。
1勝1敗のタイとなり、逆王手をかけた。勝負の3戦目も大谷が代打、この試合で好投した有原が再度リリーフ待機する。「先のことを考えて負けたら意味がない。全員使うつもりで、目いっぱいいく」と栗山監督。逆転勝ちで勢いは付いた。大一番は総力戦でファイナルS進出の切符をつかみ取る。