ソフトバンク連覇!工藤監督9回舞った
「日本シリーズ・第5戦、ヤクルト0-5ソフトバンク」(29日、神宮球場)
日本シリーズ第5戦は神宮球場で行われ、ソフトバンクが5-0でヤクルトを4勝1敗で下し、球団史上初の2年連続7度目の日本一に輝いた。工藤公康監督(52)は史上10人目となる監督就任1年目での日本一を成し遂げた。MVPには2本塁打8打点と活躍した李大浩内野手(33)が選ばれた。
重圧、緊張-。さまざまな感情を乗り越えた先に待っていた歓喜。万感の思いを胸に工藤監督の体が舞い上がる。1回、2回…。神宮の杜で9回、信頼し続けた選手たちの手に、その身を委ねた。
「感無量です。本当に僕は幸せです」。柔らかな表情で、自身の言葉を聞くベンチの選手へ視線を向けた。
監督1年目。指揮官は、どんな時も変わらぬ姿勢を選手へ見せ続けた。「オレも緊張はするけど、こっちがそうなったら選手が硬くなる」。現役では歴代最多タイとなる14度の日本シリーズ出場。だからこそ大舞台で普段通りにいることがいかに困難かを知る。
西武時代の86年、広島との日本シリーズ。3敗1分けで迎えた第5戦は自らのサヨナラ安打で勝利を収めた。それでも「流れは変わってないね。試合後、荷物をまとめながら選手間では『わざわざ広島へ移動して胴上げを見るのか…』と話していたぐらい」という。
だが第6戦での光景に驚く。絶対有利な広島の選手たちがシートノックからミスを繰り返していた。そして西武が逆転日本一を果たす。「緊張で硬くなっていた。変わらずにいることがいかに難しく、大事かということだね」と振り返った。
だからこそ工藤監督は今シリーズ中も「野球は楽しく真剣に!だよ」と言葉を発した。選手が「楽しめませんよ…」と言っても「そこで、どうやって楽しむかが大事なんだよ!」と明るく返した。
主将・内川が左ろっ骨骨折で欠場となった時も自身の動揺を抑え、そして本人の気持ちをおもんばかり「ここまで引っ張ってきたのは間違いなくお前だ。後は仲間に任せよう」と声を掛けた。
「(現役時代の日本一と)全然違います。選手が暴れてくれなければ、僕が宙に舞うことはできなかった」。ともに楽しみ、ともに笑う。新たな指揮官像で鷹を黄金期へ導く。