阪神ドラ6板山、有終“大学日本一”
「明治神宮野球大会・大学の部決勝、亜大2-1早大」(18日、神宮)
亜大が延長十四回の激闘を制し、2年ぶり5度目の優勝を飾った。阪神にドラフト6位指名された板山祐太郎外野手(4年・成立学園)は無安打だったものの、得点につながる犠打を決め、優勝に貢献。プロ入り前の最終戦で日本一に輝いた。
降りしきる雨の中、歓喜の輪に加わった板山の目が潤んだ。苦闘の末につかんだ栄冠。「優勝できてよかった。心の底からうれしい」。端正な顔に、安どの笑みが浮かんだ。
ギリギリでしのぎ合う投手戦。安打こそなかったが、仕事はこなした。1点を追う七回無死一塁から、1球で送りバント成功。同点につながり「バントは気持ちが大事なので」と、胸を張った。
小さな積み重ねが、勝ち運を呼ぶことを知っている。今年のチームスローガンは「顔晴る(がんばる)」。副将として、率先して下を向かずやってきた。その結果、リーグ戦5位に終わった春から見事なV字回復。この日の2点も本盗と相手暴投で挙げたもの。カバリングや全力疾走など『凡事徹底』を貫くひたむきさに、野球の神様が味方した。
阪神・金本新監督のスパルタ指導も望むところだ。亜大は大学球界屈指の厳しさで知られる。「そういう面では他の大学生より有利かな。どんどん言われても、向かっていくハングリー精神を持ってやりたい」と志願した。
エリートではない。だが、勝負への執念は誰にも負けない。「ユニホームを泥だらけにして勝利に導ける選手になりたい」と誓った板山。泥くさくつかんだ日本一を手土産に、プロでもはい上がり、必ず猛虎に欠かせない存在になる。