「選手・由伸」最終打席で惜別ヒット
巨人・高橋由伸監督(40)が23日、東京ドームで行われたファンフェスタで、現役引退セレモニーを行った。菅野智之投手(26)との1打席勝負では、左中間へ安打性のライナー。スピーチでは現役生活18年間の感謝と新監督としての決意を述べ、ファンの大歓声を浴びた。
由伸監督らしさが詰まったセレモニーだった。“最終打席”は菅野の直球をはじき返し、左中間へライナー性の打球。天性のバットコントロールでファンを沸かせ、現役生活に幕を閉じた。
家族から花束を手渡されても、仲間から胴上げされても涙は見せなかった。「誇れることがあるとするなら、巨人軍で現役生活を全うし、完全燃焼できたことだと思います」。最後までさわやかな笑顔を振りまいた。
セレモニーを見届けた長嶋茂雄終身名誉監督は「勝つ 勝つ 勝つ」とメッセージ入りのボールを手渡し、握手。由伸監督が尊敬する松井秀喜氏はビデオメッセージで出演し、「僕がアメリカに来た後はすべてを由伸に任せてきたので、その辺はこの場を借りておわび申し上げます」と笑いを交え、場内を盛り上げた。
シーズン終了直後は来季も現役続行の意志を固めていたが、球団から監督就任を要請され、状況は一変。引退試合を行うこともできなかったことで、この日の舞台が用意された。スポットライトを浴び、マイクを握った由伸監督は「最後に皆さんに誓います。どんな逆境にも立ち向かい、覚悟を持ってまい進します。そして野球の素晴らしさをしっかりと伝えていきます」。監督として、ファンへ力強く約束した。