「安打製造機」榎本喜八氏が殿堂入り
野球殿堂博物館の表彰委員会は18日、今年の野球殿堂入りを発表した。競技者表彰のプレーヤー表彰に巨人で3度の沢村賞に輝いた現巨人2軍監督・斎藤雅樹氏(50)、実働29年で通算224勝を挙げた現ソフトバンク監督・工藤公康氏(52)、エキスパート表彰では、元毎日・榎本喜八氏(故人)を選出。特別表彰では法大投手として通算48勝で東京六大学リーグの記録を持つ山中正竹氏(68)、戦後の野球復興に尽力した松本瀧蔵氏(故人)が選ばれた。
毎日が誇る「ミサイル打線」の一翼を担った名選手・榎本喜八氏が、殿堂表彰者に名を連ねた。表彰に出席した長男の喜栄氏(50)は「現役時代の晩年に痛烈な打球を打っていたことを覚えています。(家では)畳の上で真剣を振っていました」と思い出を語った。
首位打者を2度獲得して「安打製造機」の異名を取り2000安打達成の最年少記録(31歳229日)を残した。現役時代のライバル・張本勲氏も「榎本さんの打撃フォームは理想的。連続写真は(打撃の)教科書になる」と絶賛した。
現役時代はあまりにストイックな姿勢から奇人とされたが「普通の優しい父親だった」と喜栄氏。晩年はファンのサインの求めを「引退してからの方が人気があるな」と喜んだという。優しく不器用な天才打者に、最大の栄誉が贈られた。