楽天美馬 がん闘病母の前でプロ初完封
「ロッテ0-5楽天」(30日、QVCマリンフィールド)
頬をなでる海風を、楽天・美馬学投手は心地よく受け止めた。マリンガン打線を96球で完封。2013年のCSファイナルSで経験済みだが、自身レギュラーシーズンでは初。さらに今季12球団一番乗りの冠も付いた。
「スイスイ行き過ぎて、自分でもびっくりしています」。わずか3安打。先頭打者を出したのも1度だけ。女房役の嶋の好リードも手伝って、スライダーとシュートで両サイドを巧みに攻めた。特に右打者の内角へのシュートが奏功し、簡単に踏み込ませなかった。
スタンドには故郷・茨城から父・孝好さんと母・明美さんが応援に駆けつけた。最愛の母は、がんを患い闘病中だ。右腕は「母の前でいいピッチングができたのが良かった」とうなずいた。
昨年9月に右肘をクリーニング手術。「リハビリを始めたときは、ここまで戻るとは思わなかった」と美馬。約半年で復活を遂げた右腕を、与田投手コーチは「強い気持ちで克服し、乗り越えた」とたたえた。頼もしい右腕の快投で、チームの連敗もストップ。勝率5割に復帰した。