竜ドラ1小笠原1失点デビューも白星逃す
「交流戦、ソフトバンク5-2中日」(31日、ヤフオクドーム)
無意識に笑っていた。目前で消えたプロ初白星。中日ドラフト1位・小笠原慎之介投手(東海大相模)がベンチから見届ける。「そんなに簡単に勝てる世界じゃないと思うんで」。球団29年ぶりとなる高卒新人の初登板初勝利が手に入らなくても、驚くほどに淡々としていた。
初登板初先発が交流戦の開幕戦。高卒1年目では史上初の大舞台で、アウトを奪う度にしびれた。「ガチガチでした」という一回の先頭・牧原を空振り三振に仕留めると、激しくグラブをたたいた。感情を出さない左腕にとって、それほど重圧と高揚感は格別だった。
三回2死三塁から初めて許した安打で初失点。その直後にチームが勝ち越し、迎えた五回に3連続四球で無死満塁。「とにかく腕だけは振ろうと。開き直りました」。三回に適時打された今宮を三ゴロ併殺。柳田は四球で2死満塁となったが、内川を中飛に仕留め、またグラブをたたいた。
「奇跡です」。5回を1安打7四球で1失点の“怪投”。「反省もありました」と満足はないが、最強軍団に威風堂々とした姿を見せつけた。