金本虎ドラ1候補吉川は西岡+菊池
「全日本大学野球選手権、桐蔭横浜大2-3中京学院大」(7日、神宮球場)
虎の恋人の評価はうなぎ上りや!中京学院大のドラフト1位候補・吉川尚輝内野手(4年・中京)が4安打2盗塁の大暴れで桐蔭横浜大を下し、初出場で8強に進出した。前日を超える14人態勢で視察した阪神・スカウト陣の中で、和田豊SAは「(広島の)菊池がショートを守っているみたい」と好守を絶賛。走攻守での活躍に、神宮は感嘆の声に包まれた。
もう誰も止められなかった。鮮やかに神宮のグラウンドを躍動し、誰もがその動きに視線を送る。まるで大学選手権が、吉川のためにある舞台かのように-。4安打2盗塁に好守を連発した男は「本当にできすぎです」と苦笑いを浮かべる。
初回の第1打席、桐蔭横浜大のドラフト候補左腕・高橋拓の前に空振り三振を喫した。「準備ができてなかった」と、その反省を生かした四回の第2打席は内角直球を中前へクリーンヒット。第3打席は追い込まれながらも、外角の変化球を中前へ落とし、七回には外角直球を左前にはじき返した。
第5打席も内角直球を中前に運び、守りでは四回1死一塁から二遊間の打球に懸命に追いついた。二塁へのバックトスが悪送球となったが、並の遊撃手なら追いついていない打球。「アウトにしないとダメでした」と悔やんだが、阪神・和田SAは「(広島の)菊池がショートを守ってるみたい」とうなる。
さらに打撃に関しても「全国レベルの投手に対してすごい対応力を見せた。1打席目が悪くて、2打席目に合わせて、3打席目はいつでも打てる感じ。打席ごとに打席の中で修正できる。何かやりそうな感じがあるし、バッティングは(西岡)剛っぽい。走、攻、守、三拍子そろったいい選手」と称賛を惜しまない。
その類いまれな修正力-。リーグ戦中に吉川は凡打に倒れた直後、必ずバットを振った。攻撃中は投手を見て、何度もタイミングを合わせた。次の打席に最善の準備を整える姿は、プロで3割を打つ打者が持つ要素。それが今春の首位打者にもつながった。
「初回は無安打に終わるかなと思ったけど…。今は1試合でも多く神宮で試合をしたい」と笑った吉川。岐阜で育った大学No.1遊撃手の実力を疑う人間は、もう誰もいない。