虎のドラ1候補、吉川が3戦連続安打
「全日本大学野球選手権・準々決勝、中京学院大5-1亜大」(9日、神宮球場)
初出場の中京学院大が昨秋神宮王者の亜大を下し、東海地区大学野球連盟岐阜リーグ所属のチームとして初めて4強に進出した。ドラフト1位候補の吉川尚輝内野手(4年・中京)は、先制点につながる内野安打を放ち、3試合連続安打をマークした。
まるで夢の世界を歩んでいるかのように、吉川は言った。「本当にビックリしてます。信じられない」。昨秋の神宮王者・亜大を相手に盤石の野球で勝ちきった。その主導権をたぐり寄せたのは、やはり“主役”のバットだった。
0-0の三回2死一塁。内角直球をきれいに二遊間へはじき返した。痛烈な打球は二塁手のグラブをはじく内野安打。これでチャンスを広げると、後続の連続適時打で貴重な先取点を奪い、自身もホームへ生還した。
守りでも二回に捕手前へ転がった相手の送りバントを2-6-3の併殺に。「捕手の山崎がいい送球をしてくれた」と言うが、素早いプレーに高野球団本部長、和田SAら8人態勢で視察した虎のスカウト陣も感嘆の声を上げる。
昨年から密着する熊野スカウトは「また見てみたい、何回も見てみたいと思える内野手はそういない」と絶賛。注目を集める中でも華麗な動き、活躍できる“スター性”は、プロ野球選手として大切な要素だ。
5月のリーグ戦中に祖父を亡くし、通夜に参列した翌日の試合で決勝アーチを放った。そのボールは今、墓前に供えられている。「おじいちゃんが力をくれているのかもしれません」と笑った吉川。岐阜の大学で初の4強へ進出した快進撃は、まだまだ止まらない。